デフォーカス、コントラスト感度、光視症
眼内レンズの特徴を理解する上で必要な要素が、「ぼやけ」、「色の濃淡」、「グレア・ ハロー」の3点です。 それぞれの要素がどのような現象を示しているか理解できると、主治医とのコミュニケーションも円滑になり、 自分が考えている理想の見え方をより正しく伝えることができ、適したレンズが見つかるはずです。
監修:東京歯科大学水道橋病院 名誉教授・ 特任教授 ビッセン宮島弘子
眼内レンズは日々進化しています。 1ヵ所のみにピントが合う単焦点眼内レンズに加え、複数にピントが合う多焦点眼内レンズがあります。多焦点眼内レンズの中でもさまざまな種類が開発されており、術後の希望の見え方やライフスタイルにあわせて選択できるようになってきました。
中央の
<単焦点眼内レンズ>
〇遠方が鮮明 △近方は不鮮明 〇全体的に色鮮やか
<遠方から近方までピントが合う多焦点眼内レンズ>
〇遠方が鮮明 〇近方が鮮明 △全体的に色が淡い △グレア・ ハローが起こりやすい
眼内レンズの特徴を理解する上で必要な要素が、「ぼやけ」、「色の濃淡」、「グレア・ ハロー」の3点です。 それぞれの要素がどのような現象を示しているか理解できると、主治医とのコミュニケーションも円滑になり、 自分が考えている理想の見え方をより正しく伝えることができ、適したレンズが見つかるはずです。
例えば、読書が好きな方は、白内障手術後に本を読む際に文字がぼやけてしまっては、手術を受ける恩恵が半減してしまうのではないでしょうか。眼内レンズの種類により、ピントが合う距離が変わり、ピントの合わない距離を見るときは眼鏡が必要となります。手術の後にその距離を変更することは原則できないので慎重に検討しましょう。
中央のバーをスライドすると、左右の表示範囲を変更しながら比較できます。
皆さんは誰しもCのようなマークで視力検査をされたことがあると思います。このCマークはランドルト環と言って、その隙間が向いている方向の成否で視力を判別するのですが、ぼやけが強くなると隙間の空白が潰れて見えなくなります。
ランドルト環のサイズを視力に紐づけて、隙間が見えなくなるギリギリのところを、眼科医療では「少数視力」と呼びます。
色の濃淡を見分ける能力
複雑な光学部構造を持つ多焦点眼内レンズでは、コントラスト感度が低下することがあります。
光源の周りに現れる現象
夜に照明灯などの光を見るとまぶしく見える”グレア”や、光の周りに見える”ハロー”を感じることがあります。時間とともに軽減し、気にならなくなる方も多いようですが、夜間に車の運転を行う機会が多い方などには適さない場合があります。
まずは基本となる2種類のレンズの違い
白内障手術を受けるにあたり、迷ってしまうのが眼内レンズの選択です。自動でピントを調整してくれるカメラとは違い、眼内レンズにはピント調整機能がありませんので、どこかにピントを合わせたレンズを選ぶ必要があります。どちらのレンズも利点と欠点がありますので、その特徴をよく理解することが大切です。単焦点眼内レンズは、ピントが1つの眼内レンズです。眼内レンズの度数を調整するとことで、遠くや手元など1つの距離にピントを合わせることができます。
ピントを合わせた距離での視力は良好で、鮮明に見ることができます。しかし、それ以外の距離を見るときは、ぼやけて見えるため、眼鏡などが必要となる場合があります。